鑿道八景(高橋由一作)

更新日:2022年03月30日

「鑿道八景」は三島通庸(みちつね)が開いた新道を、洋画家の高橋由一(ゆいち)が描いた8枚の油絵を一組とした、非常に貴重なものである。

三島通庸(旧薩摩(きゅうさつま)藩士・三島農場の開設者)は、酒田(鶴岡)・山形・福島・栃木県の県令(けんれい)(県知事にあたる)時代に多くの新道を開いた。「土木県令」とあだ名にされるほど、道路開削(かいさく)に力を入れた。その開削には多大の費用を要し多くの反対があったが、後世大いに評価されるものとなった。
三島は明治17年(1884)になって、自分の行なった土木・建築事業を後世に残そうと、写真撮影と写実的な西洋画の描写を依頼した。絵は、わが国洋画界の先駆者・日本の油絵の祖といわれる高橋由一に依頼した。
由一は明治17年8月から11月にかけて、栃木・福島・山形・宮城県等を写生旅行し、約200枚を写生した。このうち128図を選んで『三県道路完成記念帖』(3冊)として発行した。またその内の原画7枚を油絵にしたて、これに三島牧場を描いた「下野那須郡三島村平野牧牛」の油絵を加えて、「鑿道八景」とした。「下野那須郡三島村平野牧牛」を除いた七景は、いずれも難工事・大工事だった地点である。

「鑿道八景」が完成したのは、明治18年(1885)2月のことであった。12頁の画帖の体裁で、高橋由一自筆の序文がある。絵の大きさは、平均で縦43.7センチメートル、横51.3センチメートルである。「鑿道八景」は三島家に大事に保管されていたが、昭和53年(1978)、三島義温氏より西那須野町に寄贈された。町では昭和55年(1980)に修理を加え、56年(1981)には開拓100年を記念して『高橋由一と三島通庸』を発行した。

名称

鑿道八景(高橋由一作)(さくどうはっけい(たかはしゆいちさく))

指定年月日

昭和53年(1978)12月6日

員数

8点

指定別

市指定

区分

有形文化財

種別

絵画

所在地

那須野が原博物館

所有者

那須塩原市

地図リンク

鑿道八景一覧

人が歩いていて左側に家屋がある三川橋の絵

第一景 羽前西田川郡架赤川三連橋土人謂三河橋従東方眺望

人々がトンネルに入っていく様子を描いた栗子山隧道の絵

第二景 羽前岩代界両国栗子山隧道右傍瀑布

茶色い道に2人が立っている絵

第三景 羽前西置賜郡沼澤村新道岩下墜下磴道

トンネルの前に人力車が置かれていて人がいて、トンネルの中にも人がいる絵

第四景 羽前陸前界両国関山村隧道洞門丹楓

前に大きな岩があり、後ろに道があり、その道を人が歩いている絵

第五景 岩代南合津郡弥五島村石径二段隔水望

峠の中にある道を人が通っている絵

第六景 岩代耶麻郡入田付村新道畳山隠顕有道有欄

橋があり、橋の前に人力車と人がいて、橋を渡っている人々がいる絵

第七景 下野塩谷郡男鹿川独橋有三架

三島牧場に牛が放牧されている絵

第八景 下野那須郡三島村平野牧牛

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教育部 生涯学習課 文化振興係

〒329-2792
栃木県那須塩原市あたご町2番3号

電話番号:0287-37-5419
ファックス番号:0287-37-5479

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