鑿道八景(高橋由一作)
「鑿道八景」は三島通庸(みちつね)が開いた新道を、洋画家の高橋由一(ゆいち)が描いた8枚の油絵を一組とした、非常に貴重なものである。
三島通庸(旧薩摩(きゅうさつま)藩士・三島農場の開設者)は、酒田(鶴岡)・山形・福島・栃木県の県令(けんれい)(県知事にあたる)時代に多くの新道を開いた。「土木県令」とあだ名にされるほど、道路開削(かいさく)に力を入れた。その開削には多大の費用を要し多くの反対があったが、後世大いに評価されるものとなった。
三島は明治17年(1884)になって、自分の行なった土木・建築事業を後世に残そうと、写真撮影と写実的な西洋画の描写を依頼した。絵は、わが国洋画界の先駆者・日本の油絵の祖といわれる高橋由一に依頼した。
由一は明治17年8月から11月にかけて、栃木・福島・山形・宮城県等を写生旅行し、約200枚を写生した。このうち128図を選んで『三県道路完成記念帖』(3冊)として発行した。またその内の原画7枚を油絵にしたて、これに三島牧場を描いた「下野那須郡三島村平野牧牛」の油絵を加えて、「鑿道八景」とした。「下野那須郡三島村平野牧牛」を除いた七景は、いずれも難工事・大工事だった地点である。
「鑿道八景」が完成したのは、明治18年(1885)2月のことであった。12頁の画帖の体裁で、高橋由一自筆の序文がある。絵の大きさは、平均で縦43.7センチメートル、横51.3センチメートルである。「鑿道八景」は三島家に大事に保管されていたが、昭和53年(1978)、三島義温氏より西那須野町に寄贈された。町では昭和55年(1980)に修理を加え、56年(1981)には開拓100年を記念して『高橋由一と三島通庸』を発行した。
名称
鑿道八景(高橋由一作)(さくどうはっけい(たかはしゆいちさく))
指定年月日
昭和53年(1978)12月6日
員数
8点
指定別
市指定
区分
有形文化財
種別
絵画
所在地
那須野が原博物館
所有者
那須塩原市
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更新日:2022年03月30日